ドバイ市内より、東北に向かってくるまで約1時間半、のどかな田舎の風景が広がるラスアルカイマ首長国で、今年2月、ラスアルカイマ自然博物館の遺跡調査団によって、高さ2m、全長7‡qにわたる巨大な防壁のようなものが発見されました。

UAE在住の考古学者、クリスチャン ヴェルドゥ氏の話しによれば、この防壁は地元の人々より"ワディ スール" と呼ばれているもので、シマール地区と、アルナキール地区で洪水によって溢れる水を "ワディ バ"にてせき止める為の「ダム」として使われていたものと考えられています。
今回発見されたのは、砂利混じりの泥レンガで作られたダム上部の部分。

そして、アルナキール地区から、シバの女王宮殿と呼ばれる辺りまで続くこのダム沿いに、150m間隔で計50本の塔が建っていたと思われるうちの現在残っている数本も、一緒に発見されました。
また、この巨大な壁のすぐ前には、深さ2mにも及ぶ堀が発見されており、洪水と、敵の攻撃をダブルで防ぐ要塞としての役割を果たしていたとも考えている。いずれにしても、このような防衛建造物の発見は、南アラビアでは初めてのことであり、この建造物が造られたと見られる、13世紀〜16世紀に繁栄をした貿易都市、ジュルファーや、まだまだ解明をされていないこの地域の知られざる歴史の謎を解く鍵になる可能性も高いようです。

これを機に、益々遺跡発掘作業に熱が入ることも間違いなく、更にこの巨大な壁からの新たな発見など、今後の発掘調査に期待が高まります。